映画『スター・ウォーズ』、ゲーム『ドラゴン・クエスト』の原点とも言われるトールキンの幻想サーガをラルフ・バクシがアニメ化。「ファンタジー」という言葉自体になじみの薄かった1978年の作品である。 すべてを支配するほどの力をもった指輪をめぐる物語――神々がいて人間がいてホビットやドワーフ、オークなどの種族が混在する壮大な世界を創造した偉大なる原作。この作品はその前半部分を映像化している。撮影した実写フィルムを1コマずつセル画にトレースする「ロトスコーピング」と呼ばれる技法を全編に導入した大作アニメである。 CGによる効果とは明らかに異なったリアルさをもつアニメーションに目を見張る。特に洞窟や暗闇の中での人物やクリーチャーの描写は、動き、質感共に独特の効果を生みだしていて印象的だ。(井上新八)
果敢なトライ
指輪物語の映画化というと 最近のロードオブザリング3部作で名高いわけだが 1978年にアニメで製作されていたということは余り知られていない。
「指輪物語」は映画化不可能という伝説があったと言う。ディズニーが長らく映画化を目指したらしいが 結局 断念したという。そんな中で ラルフバクシという幾分カルトなアニメーターが挑戦したわけだ。
映画として この作品を見ると これは不満足としか言いようが無い。ましてや 実写3部作の出来栄えが良かっただけに 今 この作品を見て評価するのは難しい。
但し 1978年の段階に戻って この映画を考えてみると やはり果敢なトライであったことは分かる。また キャラクター造形という面では これは相当優れていたと思う。1978年に評論社から原作の文庫本が出た際には 表紙がこの映画から採られていて 小生の頭の中のイメージは この映画に負っている。これは想像だが 3部作のイメージにおいても このアニメの影響は感じるのだ。
指輪物語の全てを受け止められるなら・・
原作はまだ大丈夫としても「映画のイメージだけは絶対壊して欲しくない!」という方にはオススメできません。 恐らくキャラの顔とか服装とかそういう点に疑問を抱いてしまうと思うので・・; 私的意見では映画でのキャスティングのイメージが総崩れになるかと思います。ストーリーも強調すべきところを小さく、強調しなくても良い様なシーンを大きく、といった感じで見ている途中で飽きてしまいます。 また、台詞や指輪物語で一番大事な文章とも言うべく”3つの指輪は空の下なるエルフの王に〜”の部分の訳にも疑問を感じてしまいました。 あと個人的になんですがスメアゴルが「ひとしいしと」を「いとしいひと」と言っているように聞こえた気が・・「しどい」を「ひどい」と言っていたり・・ あとキャラの名前も色々間違っている(ボロミア→ボロミール等)などとにかく私にとってとても疑問の残る作品でした。 「あのLOTRのアニメだよぉっ」と期待に胸を躍らせて見てみたのですが少々期待はずれとでも言いましょうか・・ 「指輪物語の全てを受け止められるっ」という絶対的な自信のある方は一度見てると良いかもしれません。 製作者さんには申し訳ないのですが私としてはあまりオススメできない作品でした。
前衛!
これはキワモノである。日本のセルアニメに慣れた目にはかなりつらいだろう。映像はセルアニメと実写の合成である。セルアニメの人物は海外のアニメに典型的な落ち着きの無いもので(秒間36コマすべてを作画しているため。日本のセルアニメは予算の関係もあってこの半分以下の作画枚数が普通)、輪郭も不定形生物のようにつねに波打ち続けており、終始落ち着かない気分になる。人物の仕草のアニメートもおよそデタラメで、古さを感じさせる。 脚本はというと、話をしっかり追っているのはモレア鉱山越えくらいまでで、後は強引すぎるダイジェスト版のようなありさま。 実写映画を観た勢いで買うときっと後悔する。
映画としては残念ですが、キャラクター描写は世界に影響を与えました
バクシは「ファイアー&アイス」、「魔法物語」など、「ロトスコーピング」を多用したアニメで有名ですが、知名度ではこの「指輪物語」が一番です。 (私的には「魔法物語」が一番面白いと思っていますけど・・・) 結構ストーリーをさっぱりと描く監督さんで、どの作品も「えっ、もう終わっちゃうの!?」というエンディングが多いのですが、この作品は「指輪物語」の前半のみの映像化ということで、バクシ・アニメの中でももっとも中途半端な終わり方です。 今ではCG技術の発展で人間そっくりの動きが出来るアニメーションもあたりまえですが、この頃バクシの映像はかなり斬新で(ちょっとスローモーですが)、インパクトがありました。 ロト・スコーピングは実際の俳優の演技映像に絵をかぶせるという手法のため、当時の日本のアニメ作家の中には、「バクシの映画はアニメじゃない」という人もいましたが、これはこれで面白い映像が取れているのだから良いんじゃないかと思います。 このアニメの登場人物たちのキャラクター造型は非常に優れていて、現在われわれが当たり前に見ているゲームや小説の挿絵、コミックなどに登場するハーフリングやエルフ、ウィザードなどのキャラクター・デザインは、この「バクシ版指輪物語」のキャラクターの影響を非常に強く受けています。 評論社の「指輪物語」原作の表紙絵も、旧版は長い事このバクシ版のポスターを利用してきました。 特にフロドのキャラクター・イメージは、バクシ版フロドのデザインが世界に定着し、様々な絵本やTPRGなどの指輪物語で、この絵のフロドが活躍しています。 映画自体は長い原作をかなり無理して縮めたため、公開当時は一部から酷評も受けた作品ですが、視覚的な意味で世界中のファンタジーに意外なほど影響を与えた作品で、ヒットもしていましたので、観て損はないと思います。
日本語吹き替えがミソ☆
ピーター・ジャクソン監督の実写版に比べて、どうしてもこのアニメ版は、評価の厳しいのが一般的だと思いますが、バクシ監督の労作であることは確かです。(1978年作品) 日本語吹き替え音声が追加されたのがミソで、一応、字幕に縛られずにストーリーを追うことができます。
また、この日本語音声の訳が興味深く、現在知られるようになった固有名詞の訳などが、かなり当時は違っている点など、ある意味貴重なアイテムかもしれません。 日本語音声を聞きながら、日本語字幕も表示して、相違点をチェックするのも、マニアックな楽しみ方としてはアリかも。 キャラの微妙な表情や仕草などから来る魅力や現実感、重厚さ…といった点は、やはり実写版には比べられないですが、指輪ファンだったら、サイドアイテムとして、持っていても良いのではないでしょうか?
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