アジア通貨危機が日本にもあった
アジア通貨危機以降、相場に携わってきたものの、本書に書かれていることを寡聞にして知らなかった。江戸幕府が崩壊した理由は、外圧内圧を始めとして、政治軍事的に語られることが多い。しかし本書はそれを経済的な面から見た奇書である。間違った交換レートを強要された幕府が、金の流出招く。対抗措置としてとった通貨価値の下落が、ハイパーインフレと社会不安を招き政権を崩壊させる。まるでアングロサクソンの先兵IMFの処方箋を守ったアジアの国々が、通貨の暴落を招き、インフレと社会不安の中で政権を崩壊させていった過程と瓜二つである。 双方のケースとも、欧米のグローバルスタンダートなる論理をアジア諸国が受け入れた故の混乱である。歴史は繰り返すと嘆く前に、私たちは私たちの処方箋を自ら描かなくてはいけないのだろう。再び沈没する前に。
文藝春秋
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