「ひらきこもり」のすすめ―デジタル時代の仕事論 (講談社現代新書)



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「ひらきこもり」のすすめ―デジタル時代の仕事論 (講談社現代新書)
「ひらきこもり」のすすめ―デジタル時代の仕事論 (講談社現代新書)

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時代遅れの内容

 カリスマニートのスズキ(斉藤)さんがしょっちゅう連呼しているので、興味を持って読んでみたら、およそスズキさんがふだんニコニコ動画で喋っている事が書いてあります。

 この本が出版されたのは2002年ですから、構想と執筆がされたのは2000?2001年頃なので、当時としては時代に合致した衝撃的な内容だったでしょう。当時はネットバブルと団塊世代Jrによる需要で生じたエンターテイメント産業バブルが重なっていたので、誰もがクリエイティブな仕事で成り上がれると信じていました。そういった時代らしい内容です。

 本書に書かれている、ネット乞食やブロガー、動画の自分撮りをやって、ペイパルでお金をもらえる時代になったと書いてあります。そうすればあくせく働かなくても好きな事をして生きていけるんだとというのが主な内容なんですが、その金の出所は一次産業二次産業に従事している人が働いて稼いだお金のおこぼれや、団塊世代の蓄えから出た小遣いであるという事は触れられていません。

 2008年現在、それまで他人事だった貧困が日常に蔓延していて、ネット乞食への投げ銭どころか日々の生活も厳しいという有様ですから、本書の内容を本格的に実践するとどうなるかというとニートスズキさん本人になれるでしょう。

 個人が生活できる程の収入が得られるかというと、不細工なパンピーの顔見るのにお金までは払いたくないないわけで、ブログの女王しょこたんとキモメンとの間には越えられない壁がありますね。むしろITの普及で個人が情報発信する事の経済価値が相対的に薄まったと思います。

 結果として、金銭的に成功したのは、「個人の情報発信」とか「情報商材」という言葉で飾り立てて、利用者を集めたサービス産業の方だったんじゃないでしょうか。
実現する未来

「ひきこもりつつ覚醒する」
インターネットが拓く世界と、新しい生き方・仕事観を提唱する。

2002年に発行された本書に描かれた「1億チャンネル時代」ですが、その当時ではまだ夢物語だとか、楽観的すぎる、とか言われたと思いますが、現在では既にこれらが現実となっていることが驚きです。

ブログの隆盛やYou Tubeにおける創作活動の拡がり、公開ブックマークやレビューサイトの隆盛、アフィリエートビジネスによる表現者やWeb案内人への報酬の具体化 等々によって、著者が描いた「デジタル吟遊詩人」としての生き方は着実に現実化しています。今なら、本書の主張ももはや突飛なものではないですが、Web2.0という言葉もなかった数年前に、この状況を正確に予見していたことは驚きです。

「働くのは偉いこと」という価値観を否定し、会社や学校のあり方を否定し、ひきこもりつつ、ネットを通じて世界と繋がる、「ひらきこもり」の生き方を提唱している本書の主張は、やや過激すぎる面もあるかもしれません。また、真に受けて実践しても、誰もが成功できるものではないので、それなりの覚悟は必要とは思います。

ただ、「だれもが一流大学から一流企業へという生き方を目指すべき」という一元的な価値観とは異なる、新しい生き方の可能性を示すことの意義は大きいと思います。また、現代においてはこれを実践するためのインフラが整いつつある、ということは特筆すべきでしょう。つまり、覚悟と才能と努力と運があれば、「デジタル吟遊詩人」としての新しい人生の可能性は僕たちの前にも開かれているのです。そうした中、「では、どのような人生を選ぶのか」ということを、僕たちは改めて問い直されているのかも知れません。

Web2.0の世界でどのような生き方がありうるのか。また、その中で求められるものは何か。本書の主張は、いまでも先見性に満ちています。ひきこもりの方以外にもおすすめです。
こんな夢を描く力そのものがすごい

IT、とりわけインターネットの発達を前提とした著作で2002年の出版、決して「新しい」本ではない。しかしここに示されているビジョンは今でも十分に新しく、刺激的だ。

著者はインターネットを、空間を越えるコミュニケーションツールとして肯定的に捉え、「引きこもり」がちとされたオタクに、オタクならではの知識を以て社会参加を遂げさせる「ひらきこもり」というスタンスを、ひいては従来の組織や通貨経済を超越した仕事のあり方を提案している。
一時期話題になった「地域通貨」の概念の影響もあるかと思われるが、ネット上で某かの表現を行い、不特定多数の人間に「投げ銭」してもらう、またその際に、作品の「価格」を投げ銭する当人に決めさせる。また、ある人がある「表現」に対し100万円払ったとしても、別の人はその「表現」を鑑賞後に、価値無しとして全く何も支払わないことも許される。更にこれらの「支払い」を金銭に限らず食物や何か別のもので行うこともありとする。
ものの価値は万人に共通のものではないという、ある意味では当たり前だが実際には存在しない社会システム像が描かれているのである。
なお著者は「表現」の範囲そのものを従来の範疇から大幅に拡げている。

著者のこの思想を楽観主義として一笑に付すことは簡単である。
しかし人間は描いたものよりも良いものを作るのは難しい。どうせインターネットが世の中に浸透し、社会が変わってゆくのならば楽観的な夢を描いた方がよい。
この社会システムと従来の社会システムと並存させることで、どちらのシステムに乗るかを適宜選択できるようにすれば、多様な人々の真に多様な生き方を実現することではないだろうか。
新しい考え方が満ちている

21世紀の仕組みを語る。
新しい考え方に満ちている。情報を深く掘り下げ、引きこもりながら覚醒する。そういう生き方が今後のスタンダードになってくるかもしれない。まだまだわからないが、テクノロジーの進歩は人々にさまざまな可能性を提供してくれている。それによって確実に生活は変わるのだ。

それに気づかせてくれる。
秀逸!
あまりに楽観的

「ひきこもり」たちにたいして「ひらきこもり」を推奨しているのかと一見思いがちだが
インターネットの普及とそれに伴う社会的営為の変化に乗じて逸早く組織を抜け出せ、と
いちおう企業に勤めてはいるが野心満々な普通の会社員たちにも煽りを入れている。
煽り、という表現を使ったのは、そうして「ひらきこもり」になった連中が不可避的に

背負わなければならないデメリットを極力避けて論じているからである。「二十代の終わりまで
ぶらぶら遊んでいた」渡辺ならではの楽観といえばそれまでだが、例えば渡辺のいう
「ひらきこもり」によって成功しうる仕事はほとんどアミューズメント産業に限られている
ことや、人々がインターネットにアクセスする動機の最たるものが「表現」ではなく「コミュ

ニケーション」であるということなど、自身の仕事論の根幹を揺るがすような論点をおそらく
は意図的に度外視している。本書で述べられている「ひらきこもり」仕事論が全くの無効で
あるとは思わないが、これによって立派に成功できる人なんて、ほんの一握りでしかないだろう。

ただし本書に散見される渡辺の見解には、諸手をあげて賛同できる部分が多い。例えば
「最近の子どもが、ゲームが好きだから将来はゲームデザイナーに、なんて言っているのを
聞くとちょっと不思議な気がする。ゲームが好きならまず、とことん遊べばいいじゃないか、

と思う」という渡辺の直感には完全に同意する。ただし、これも明らかに楽観ではあるけれど。



講談社
ひらきこもりのすすめ2.0 (講談社BOX)
怪人21世紀 中野ブロードウェイ探偵 ユウ&AI(講談社ノベルス)
生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)







         
         
         
         

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